うつ病に悩む日本人は多いですが、それは高齢者であっても例外ではありません。もっとも、高齢者のうつ病は若者のそれとはやや性質が異なるため、そのことをしっかりと理解してメンタルケアを行う必要があります。
具体的には、若者のうつ病は主に外部からの強いストレスによって引き起こされるケースが多いですが、高齢者の場合は、ストレスに加えて喪失体験が原因となるケースが少なくありません。例えば、長年続けてきた仕事をリタイアしたり、子供の独立や配偶者との死別によって独り暮らしになると、知らないうちに強い喪失感を覚えて、それがうつ病を引き起こすのです。
加えて、脳の機能低下も高齢者のうつ病の原因の一つです。年を取ってくると血流が悪くなり、それによって脳内に血液が循環しにくくなります。その結果、感情の起伏がなくなってしまったり、何をするにも意欲が起きにくくなってしまい、やがてうつ病を発症してしまうのです。
このようにして引き起こされる高齢者のうつ病は、症状が認知症と似ているため、ややもすると気づかれずに放置されがちです。もし治療されないまま時間が経過すると、どんどん状態が悪化していって最後は自殺に至るという可能性も決して低くはありません。
そうなってから後悔しても取り返しがつかないため、介護に携わっているのなら高齢者が最近元気がないように感じられたら、精神的に病んでいないかどうかさりげなく観察するようにするとよいでしょう。もし気になる症状が見受けられたら、早めに専門家に相談してみるのがおすすめです。
また高齢者の心のケアに関しては『「心のケア」を大切にできる介護職になろう』もおすすめなので、併せて読んでみてください。